人称ぱらだいす

あんまり書くネタなくて…というか
いろいろちょっと忙しくて更新サボり気味。
忙しい理由はもっぱらラオス語の授業進度が早めなことと
論文の締め切りがちょっと迫ってきたことによります。


そうなんです。「ラオス語始めました」のエントリで書いたとおり、
ラオス語の授業はラオス国立大学がやっている
ラオス語学習コース「ピーキィアム」ではなくて
週3回2時間個人授業で、
テキストはピーキィアムのものを使っているのですが
進度がピーキィアムより速いらしく
毎回50〜100個ずつくらい単語が増えます。
それを帰ったらエクセルに打ち込んで単語帳を作り
覚え…るあたりで結構限界かもしれないorz
幸いラオス語文法は簡単で、
今は単語量をとにかく増やすことが重要なので
これでいいのですがなかなか大変は大変。

そんななかでも楽しみが。ふふふふふ。
語学好きの言語学をちょっとかじった(ほとんど独学ですが)身としては
時々萌えポイントが。


今週の萌えポイント第1弾。
ずばり「人称代名詞」(ああなんてマニアック!)

人称代名詞というのはその場に登場する人とかモノを指す言葉。
1人称というのは英語の授業で習う「I」とか「we」とかですね。
話し手や書き手を指す言葉のことです。
2人称は相手を指す言葉。3人称はそれ以外を指す言葉のことです。
この人称は世界中の言語にあります。
(4人称がこの世に存在するかどうかは議論の分かれるところらしいです)

ラオス語には単数の人称が1人称、2人称、3人称それぞれ4種類、
合計12個あります。
複数はこれらに複数を表す「プァック」を
単語の頭につけて作る12個に加えて、
東北タイ語などから入ってきた2個が加わり14個あります。

なんか英語やフランス語その他西欧諸語に比べてやけに多くて、
欧米人的にはこの数だけで「Amazing...」または「Terrible...」らしい。
しかし我々日本人にとっては恐るるに足りず。
日本語の方が腐るほど人称があることはご存じの通りでございます。
むしろ日本語より使い分けがはっきりしてていいかも。
「各人称で4種類」は、
「フォーマル」「普通」「わりと柄悪い」「すげー柄悪い」
みたいな感じで使い分けられている、らしいです。
(いや、「柄悪い」というか親しかったり逆に喧嘩してたりするときか)

これが全部適切に使いこなせたら
わりといっちょまえのラオス人ぽいではありませんか!
ていうか、これを全部いっちょまえに使うような状況にいられるくらい
ラオス社会に馴染みたい!(笑)


さらに個人的な新発見。
1人称複数の「普通」にだけinclusiveとexclusiveの区別がある!
…と言っても分かりませんよね?

えーと…
inclusiveの1人称複数というのは話してる相手を含む「私たち」、
exclusiveの1人称複数というのは話してる相手を含まない「私たち」です。

この区別が、なぜか普段使う「普通」にだけあります。
おお、なんか中国語の「ウォーメン」「ツァーメン」
ぽいではないか。
(中国語だと「ウォーメン」はexclusive、「ツァーメン」はinclusive
しかも実際の使い分けは結構適当らしいというあたりも中国語っぽい。

あと、単数の「すげー柄悪い」カテゴリーに入る
1人称と2人称の人称代名詞は
以前私が調査していた
中国貴州省のプイ族が使うプイ語における
「普通」の人称代名詞とまったく同じ。
つまりプイ族がラオスに来て普通にプイ語を喋ると
「なんかびみょーに分かるんだけどスゲーなれなれしくて失礼なやつ」に
なるわけですね。ふふふ。
これはプイ族の友達に教えてやらなくては(笑)
ちなみにプイ語とタイ語は同じ仲間の言語集団で、
文法はとってもよく似ていて、単語も時々似ているので、
ラオス語の勉強をするときにちょっと助かっています。


こんな感じで、これまでいろんな言語を勉強してきたのが
ちょくちょく役に立ってて、
「あっ、ここ似てる!」「ここ違うなあ」とかいう発見が
ちょっとした学習上の萌えポイントとなっております。
伝わりにくくてすみません、
物事には「やりこまないとわからない楽しみ」というのがあるのです(笑)
これが長じると言語類型論学者みたいになるのかも。


今週はもうひとつの萌えポイント
「お坊さん言葉」との出会いがあったのですが
街中でわりと見かけるお坊さんたちの写真を撮るのを忘れたので
それはまた後日。